なんか、可愛い!

島田吾郎

じっとテーブルの上の(ブツ)を凝視している。

なぜか、少し怒ったような顔になっている。

でも、別に怒っているわけではなく集中している。

この何とも言えない顔が、撮影の最終段階を示している。

集中すると、物はそれ自体自分を装うようにと語りかけてくる。

肉眼とカメラ眼との調整をしながら、

周りの一つ一つのライトは、

必然的にそこに置かざるを得ないものばかり。

光の加減は無限にあり、難しくて、そして面白い。

物に話しかけてみる。

おい、どうだ、これで満足だろう。

奴はただ黙っている。

相手は俺よりも気難しい頑固者らしい。

なんか、可愛い!