雑司ヶ谷のお会式

宮田宏伸

 

 縁があって、雑司ヶ谷のお会式というお祭りの撮影に行きました。

つい最近、桜が季節外れの花を咲かせたというニュースが各地から伝えられ、これは台風の強い風で桜の木に海水が降りかかったせいということですが…。

写真中央奥の背の高い山車は「万灯(まんどう)」といって、桜の花を模して作られるものだそうです。その前では威勢のいい若者が纏を頭上に掲げて振るい、前後に祭り衣装の大勢の集団が、鉦や太鼓を鳴らして調子を取りながら、最終目的地である雑司ヶ谷鬼子母神堂を目指して練り歩いて行きます。午後7時から始まる夜の祭りなので、万灯が放つ灯りがロマンチックでいい感じです。今年のお会式では地元と遠征講社を含めて35講社が万灯を繰り出し、池袋駅東口から明治通り、目白通り、鬼子母神参道まで練り歩き、壮観です。

日蓮宗の宗祖・日蓮上人は元寇など大きな国難が降りかかった13世紀後半の鎌倉時代の信念の人で、当時はやはり天変地異が多発したのか、日蓮上人が死んだときには季節外れの桜の花が咲いたといいます。お会式の万灯はその故事にちなんでいるとのこと。当時も今年と同じように強い台風が来ていたのかもしれません。

鬼子母神の境内の大勢の見物客の中に入ってさらに盛り上がるこのお祭り。初めて見たのですが病みつきになりそう。